Foliage Poet

つたない詩の倉庫/推敲 ・ 改作 ・ 編集

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 国道脇の金網フェンスに葛が絡み付き、上部を乗

り越えた蔓と葉が、路肩に降りて来ようとしている。

数十メートルも続く葛の葉のフェンスの横を、乗用

車やトラックや路線バスが走って行く。

 

 

 丘の斜面に葛が繁茂している。頂上へ向かうアス

ファルト道路の、ガード柵の白いパイプの間から、

斜面を這い登って来た蔓と葉が、更に上方に進出し

ようと機を窺っている。

 

 

 山間の作業小屋の外に、葛の茂みが寄り集まり、

大きな塊になっている場所がある。その下には、鉄

骨混じりのコンクリート塊や廃材や、錆びた機械部

品等が積み上げられている。

 

 

 ウバメガシに葛が取り付いている。樹体の大半を

葛の葉が覆い、隣のモチノキにまで広がる勢いだ。

あちこちの葉陰から、長い花茎が上向きに突き出し、

赤紫色や濃紺の花を咲かせている。

 

 

 河川敷の植物群落が、夥しい数の葛の葉で覆われ

ている。広さはサッカー場に迫るほどだ。凹凸のあ

る分厚い深緑の絨毯の下で、葛の蔓にがんじ搦めに

緊縛された中・低木が喘いでいる。

 

 

 葛の茂みの中には、ゾウムシ、カメムシ、クズノ

チビタマムシ等、様々な虫がいる。バッタが跳ね、

暗い地面をヘビやムカデが這っている。猫が走り込

み、犬が鼻を突っ込む。時にはヒトも来る。

 

 

 海辺の廃工場の破れたトタン塀の下から、地面を

匍匐し侵入して来る葛の蔓。採石場跡の傾いた廃電

柱が、枯れた葛の葉で覆われていることもある。ま

るで大きな鳥の巣のように。